よくありがちな間違った顧客目線
顧客目線で考えましょう!
マーケティングで重要な考え方です。
しかし、ミーティングなんかで、よく、「私がお客さんだったらこう思います」という意見を聞くことがあります。
私が顧客の立場に立ったらこのように思う。その意見は、一見顧客目線な意見のように聞こえます。
果たしてそうでしょうか?

ゼクシィ創刊の立役者の一人、売れる副編集長は、こんな人だった
私は、ゼクシィをはじめとしたいくつかのブライダル雑誌の編集長とお仕事をしました。
売れるブライダル誌を作る編集長と売れないブライダル誌を作る編集長の違いにある時気が付きました。
ゼクシィ創刊時の副編集長の森川さん(のちに編集長になる)は、人の意見を真剣に聞いて、受け入れてくれる人でした。
当時年次の低かった私が、とてもユニークな企画を出した時、ある人は、「お前、何訳のわからない企画だしてんだよ!」とあきれ顔で言われた企画を真剣に聞いてくれて、「それって、案外いい企画かも」と言って取り上げてくれたのです。
とにかく人の話をよく聞いてくれる人でした。
売れない編集長は、こんな人でした。
別のある編集長(仮にAさんとします)は、人の意見をあまり聞かないタイプでした。
Aさんは、ことあるごとに、このように言っていました。
「私は、読者層と同じ層なので、私が読みたいと思う記事は、読者もきっと読みたいはず」
しかし、Aさんの手掛けるブライダル誌の販売部数はいつも低迷していました。
「私が読者を代表しているから、私の読みたいものが読者の読みたいもの」と言って、売れない雑誌を作り続けました。
これって案外よくあること
Aさんは、たしかに世代としてそのブライダル雑誌の読者層と同じ世代であることは確かです。
だからといって、読者全員がAさんと同じではありません。Aさんのペルソナ(どんな人物像か)は、そのブライダル雑誌の読者の一部でしかないのです。
これから結婚しようとする女性すべてがAさんなわけはなく、むしろAさんとは異なる考えを持っている方が多いかもしれません。Aさんブライダルに精通したブライダル誌の編集長であるのに対し、読者はブライダルはじめの初心者なのですから。
だから、「自分がお客さんだったらこう思う」という意見自体は悪くはありませんが、それは、すべてのお客さんにも当てはまるかどうかは、まったく違う話だということです。
自分だったらこうするよな、自分だったらこう思うな、というのは自然に出てくる発想だし、一つの視点としては良いと思います。それがすべてではないということ。いろんなお客さんがいるので、そのことを肝に命じる必要があるのです。
会議の席なので、「自分だったらこう思う」という意見が案外よく出てくるので注意が必要です。
自分=お客様ではない
今は、デジタルマーケティングの時代なので、いろんなお客さん像(ペルソナ)をイメージしながら、その中からペルソナを選択し、そこに向けて企画やコピーを考えていくことになります。
自分=お客さんではないのに、自分がお客さんだったらこう思う、というのは、本当の顧客目線ではないと、思うわけです。
